ふわふわの手ざわり、光にあたったときの毛色、なでたときのあたたかさ。愛犬を見送った後、「あの子の毛を少しだけ手元に残しておきたい」と考える飼い主さんはたくさんいます。
毛は、写真とはまた違ったかたちで、その子の存在を感じさせてくれるものです。この記事では、トリミングサロンの視点から、愛犬の毛をきれいに残す方法と、大切に保管するためのコツをご紹介します。
毛を形見に残すということ
遺骨や写真と並んで、毛(遺毛)は形見として選ばれることの多いものです。小さな束でも手のひらにのせると、その子の毛質や色がそのまま伝わってきます。
遺骨は霊園に納める、写真はアルバムにしまう。それとは別に、いつでも触れられる場所に「その子の一部」を置いておけることが、遺毛の大きな魅力です。その子らしい毛色を見るたびに、一緒に過ごした日々を思い出せるという方もいらっしゃいます。
毛を切るタイミング
火葬の前に
遺毛を残すなら、火葬の前に切っておく必要があります。火葬の当日は気持ちの余裕がなくなりがちなので、安置して少し落ち着いたところで、早めに切っておくと安心です。
エンジェルケアをトリミングサロンに依頼する場合は、そのときにトリマーにお願いできることもあります。毛の流れや毛質を見ながら、見た目に影響のない場所からきれいに切り取ってもらえます。エンジェルケアについては「愛犬のエンジェルケアとは?」でくわしくご紹介しています。
元気なうちに残しておく方法も
実は、元気なうちから毛を残しておく飼い主さんもいます。たとえば、トリミングでカットした毛を少し分けてもらう、子犬の頃の初めてのカットの毛を記念にとっておく、といった方法です。ただし、サロンによっては衛生上の理由から、ふだんはカットした毛をお渡ししていないこともあります。残したい場合は、事前にお願いしておきましょう。
子犬の頃と大人になってからでは、毛色や毛質が変わる子も少なくありません。成長の記録として毎年少しずつ残しておくと、あとから見返したときにたくさんの思い出がよみがえります。「形見」というより「成長アルバム」のような感覚で、気軽に始められます。
どこの毛を切ればいい?
遺毛は、見た目の変化が目立たない場所から切るのが基本です。
- 首の後ろ(首輪で隠れるあたり)
- 胸の下のほう
- お尻やももの裏
- しっぽの付け根の内側
毛色が何色か混ざっている子は、色ごとに少しずつ残しておくのもおすすめです。白と茶色、黒とタンなど、その子らしい配色がそのまま形見になります。
顔まわりや背中の真ん中など、見た目の印象に関わる場所は避けておくと、お見送りのときの姿をきれいに保てます。
量は、指でつまめるくらいの小さな束で十分です。ペンダントやお守りに入れる場合は、ほんのひとつまみで足ります。あとでメモリアルグッズをつくりたい場合は、少し多めに残しておくと迷わずにすみます。
きれいに切り取る手順
用意するもの
- ブラシまたはコーム
- 先の丸いハサミ
- 細めのリボン、刺しゅう糸、またはマスキングテープ
- 小さな封筒やチャック付きの袋
手順
- ブラッシングする:切りたい場所をブラッシングして、毛の流れをそろえます。もつれがあればやさしくほどきます。
- 根元を指でつまむ:残したい束を、根元に近いところで指でつまみます。束がばらけないよう、しっかり押さえてください。
- 根元側を切る:つまんだ指のすぐ下(体に近い側)を、ハサミで切ります。皮膚にハサミが当たらないよう、指を目印にすると安全です。
- 根元を結ぶ:切った束の根元側を、リボンや糸で結ぶか、マスキングテープで留めます。こうしておくと、毛がばらばらになりません。
- 日付を書いて保管する:封筒や袋に入れて、日付と名前、どこの毛かを書いておきます。
長毛の子は束がまとまりやすく、短毛の子は束にしにくいことがあります。短毛の場合は、ブラッシングで抜けた毛を集めて、小さな袋や瓶に入れておく方法もあります。プードルのような巻き毛の子は、束のままだとふんわり丸まるので、その立体感ごと残すのも素敵です。
大切に保管するためのコツ
毛は湿気や虫に弱く、保管のしかたによっては傷んでしまうこともあります。
- しっかり乾かす:保管前に毛が湿っていないかを確認します。湿ったまま密閉すると、カビやにおいの原因になります。
- 密閉して乾燥剤を入れる:チャック付きの袋や密閉できる容器に、乾燥剤と一緒に入れます。
- 直射日光を避ける:日光に長く当たると、毛色があせることがあります。飾る場合も、窓際は避けましょう。
- 防虫に気をつける:ウールの衣類と同じように、虫に食べられてしまうことがあります。密閉容器で保管するか、衣類用の防虫剤を毛に直接触れないように入れておきます。
ときどき取り出して状態を確認し、乾燥剤を交換すると、長くきれいな状態を保てます。桐の小箱など、湿気を吸いにくい入れ物を選ぶのもよい方法です。
遺毛を使ったメモリアルグッズのアイデア
保管するだけでなく、身につけたり飾ったりできるかたちにする方法もあります。
| アイデア | どんなものか | 必要な毛の量 |
|---|---|---|
| 遺毛カプセル・ペンダント | 小さなカプセルに入れて、ネックレスやキーホルダーに | ひとつまみ |
| お守り袋 | 小さな布袋に入れて持ち歩く | ひとつまみ〜小さな束 |
| ミニ額・フォトフレーム | 写真と一緒に毛の束を飾る | 小さな束 |
| レジンのアクセサリー | 透明な樹脂に毛を閉じ込める | ひとつまみ |
| 羊毛フェルトの人形 | その子の毛を混ぜて、姿を再現してもらう | 多め(制作先に確認) |
最近は、遺毛を使ったグッズを専門に制作する工房やサービスも増えています。必要な毛の量は制作先によって異なるため、依頼を考えている場合は、切る前に確認しておくと安心です。
すぐにグッズにしなくても大丈夫です。まずは大切に保管しておき、気持ちが落ち着いてから、ゆっくり考える飼い主さんもたくさんいます。
毛と一緒に残したいもの
毛のほかにも、形見として残しておけるものがあります。
- 首輪やリード、名札
- お気に入りのおもちゃや毛布
- 肉球のスタンプ
- 抜けたひげや、子犬の頃の乳歯
- トリミングのたびに撮っていた写真
肉球スタンプは、インクを肉球にのせて紙に押すだけで残せます。火葬の前にとっておくと、小さな足あとがずっと手元に残ります。毛の束と一緒に、同じ封筒や額にまとめておくのも素敵です。
よくあるご質問
火葬の後でも毛を残せますか?
火葬の後に毛を残すことはできません。残したい場合は、必ず火葬の前に切っておきましょう。立会い火葬の場合も、当日は慌ただしくなりがちなので、安置しているあいだに済ませておくと安心です。
切った毛は洗ったほうがいいですか?
汚れが気になる場合は、ぬるま湯でやさしくすすぎ、時間をかけてしっかり乾かしてから保管します。乾ききっていないと、カビやにおいの原因になります。シャンプーやブラッシングの後の、きれいな状態で切るのがいちばん手軽です。
家族で分けて持っていたいのですが。
小さな束をいくつかつくっておくと、家族それぞれが手元に置けます。離れて暮らす家族の分も、最初に切るときにあわせて用意しておくと、あとから慌てずにすみます。
多頭飼いなので、ほかの子の毛と混ざらないか心配です。
切ったらすぐに袋や封筒に入れ、名前と日付を書いておきましょう。保管する箱も、一頭ずつ分けておくと安心です。
スタッフ
まとめ
毛の束は小さなものですが、そこにはその子と過ごした時間がたくさん詰まっています。元気なうちに少しずつ残しておくのも、お別れのときにそっと切り取るのも、どちらもその子を大切に思う気持ちのあらわれです。
あなたらしい方法で、その子のふわふわを手元に残してあげてください。
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形見の毛のカットも SKIPPYにご相談ください
SKIPPY東久留米店では、エンジェルケア(亡くなってから2日以内の子が対象)のときに、ご希望に応じて形見として残す毛のカットもお手伝いしています。「どこを切ればいいかわからない」「自分で切るのは不安」という方は、ケアのご相談の際にお伝えください。毛色ごとに分けたり、束をきれいにまとめたりしてお渡しします。
ふだんのトリミングでは、衛生上の理由から、カットした毛はお渡ししていません。子犬の初めてのトリミングやお誕生日など、節目の記念に「毛を残したい」という特別なご希望がある場合は、事前にスタッフへご相談ください。
エンジェルケアのご相談は東久留米店へ、ふだんのトリミングのご予約は各店舗へご連絡ください。所沢店へのお電話は、飼い主様専用ダイヤル(TEL 050-1794-3246、受付 10時〜19時)までどうぞ。
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